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大切なあの人へ

大切なあの人へ

あなたは気づいていますか?

自分を支えてくれている人々の事を。そして温かなまなざしの事を・・・。

今年も贈ります。大切なあの人だから・・・。

第一章 社会人

麹子は布団のぬくもりを感じながら、気持ちよく床についていた。


「ワンワン・・・!!」


ドアを押し開け、耳元でさわぐジョンの鳴き声に、麹子はあわてて布団から飛び起きた。

時計に目を向けると、時刻は7時・・・


「あ~またやっちゃった・・・」


あわててスーツに着がえ、階段をかけおりた。


「きっちゃんおはよう朝ごはんどうする?」


いつものやさしい母の声が、今日はなぜか新鮮に感じられた。

味噌汁の香りにそそられ、食欲もかきたてられたが、再度時計を見直し、


「ごめん。今日パス」


そういって走り出した。電車に飛び乗りお腹がなるのを気にしながら、


「我ながら健康的になったこと・・・」


麹子は少し笑いながらつぶやいた


麹子は今年大学を卒業し、父の勧めもあった食品メーカーの研究室で働いている。


学生の頃とちがい、毎日変化のある生活を、大変ではあるがけっこう気に入っている麹子であった。

何より実家へ帰ってきたという生活の変化が、一種の安定剤の役目をはたしているのだろう。


月も師走となり、麹子もようやく仕事に慣れてきたのだろうか。周りに目をむける余裕がでてきた。


いつもは、キビキビと指示を飛ばし、駆け回って仕事をこなす上司の花村課長が、何やらいつもと感じがちがう。

報告にいってみても、


「あ、そう。わかった」


と、そっけない。いつもの小言も全くない暗い表情なのだ。


「何かあったのかナ・・・」


麹子はそんな花村課長の態度が気になって仕方なかった。
 

第二章 私のできる事

「ただいま」


「オウ、おかえり」


「おかえりなさい」


珍しく父は麹子より早く帰っているらしい。茶の間に足を進めると、
既にもういい顔色をしている父と、にこにこ顔の母が麹子を迎えてくれた。


「お父さん、今日は珍しく早いのね。」


「ああ、毎日残業続きだから、たまには皆のことも早く帰してやらなきゃな。どうだ麹子も一杯やらなか?」


「う~ん。今日はいい」


台所に行き自分の味噌汁とご飯をよそい食卓についた。きょうはおでん。あめ色に煮えた大根がとてもおいしそうだ。


「いただきま~す。おなかすいたんだぁー。うん。おいしいっ!!」


「まったく、こいつは色気より食い気だな母さん」


「お父さんはそんな事ばかり言って、麹子に嫌われてしまいますよ。」


母は笑いながら言った。


「本当。失礼ね、お父さんたら」


麹子も子供のように口をとがらせ怒ってみせた。
でも父と母の楽しそうな様子を見ているとやっぱり我が家はいいなーと思うのだった。


ふと時計を見ると9時・・・


「花村課長、まだ仕事をしているのかしら」麹子が帰るときには、まだ外回りから帰ってきたばかりらしく、
机の上には書類やメモなどが乱雑に置かれたままだった。


「お先に失礼します」


麹子が挨拶をするとハッと我に返ったように


「ああ、永野君。お疲れ様」


と笑って答えてくれた課長。しかし、あの時の疲れた表情が、急に麹子の目の前に浮かんできてはなれなくなった。
そういえば、単身赴任の課長も、今回のプロジェクトが終了するまで帰れないらしいと、

同僚の女の子達が噂していたっけ。子供達に会えるのを楽しみにしていただろうにナ・・・。


「ねぇお父さん、もしお父さんが単身赴任になったらどうする?」


「なんだい、やぶからぼうに」


「お父さんは一人でご飯なんか作れっこありませんよ」


母が確信したように言った。
 


「そーなりゃちゃんとやるさ」
 


父は強がるように答えた。
 


『でも暗い部屋に帰るのってきっと淋しいだろうなー。そんな時は何か暖かいものを・・・。そうだ、お味噌汁!』
 


麹子の家ではいつでも父自慢の味噌で作ったおいしい味噌汁があった。

暖かい味噌汁で温もりを感じてもらえたらいいな。麹子はそんな気持ちでいっぱいになった。
 


「お父さんの所にお味噌買いにいってもいい?いつもお世話になっている花村課長にお歳暮を贈りたいの」
 


「よし、わかった。吟味して用意しておくから、明日会社によりなさい」
 


「ありがとう、お父さん」
 


自分の部屋にむかいながら
 


『あっそうだ。おいしい味噌汁の作り方、何点かレシピにして手紙に添えよう!』
 


そう思うとワクワクしてきた。そこへ台所からいつもやさしい母の声が麹子の耳に入ってきた。
「明日の朝ごはん食べられるように早く起きなさいよー」
 


「はいはい。わかってますよー」
 


わかっちゃいるけど起きられないのだ。
 


『ありがとう、心配かけてごめんね、お母さん』
 

第三章 心の食卓

麹子は、お味噌汁を手渡そうと花村課長の帰りを待っていた。


いつものように外回りから花村課長が帰ってきた。


「どうしたんだ?永野君。こんなに遅くまで・・・」


時計は8時をまわっていた。


「課長!いつもお世話になっているので、これ、お味噌なんですけど食べて下さい」


「おー、お味噌とは渋いねー。どうしたんだい?」


「うちの父が味噌屋に勤めているんです。

とてもおいしいから花村課長にも味噌汁を飲んで元気を出してほしいと思って・・・」


「それはありがとう。永野君のお父さんが作ったのかい?」


「はい!手作りだから、とっても体にいいって言ってました。」


「そうだね、味噌は体にいいし、すごいパワーを持っているんだよね。」
「パワー?」


「味噌汁を毎日飲むことによって、コレステロールをたまりにくくしたり、

最近ではガン予防効果もあると言われているんだよ。」


「へぇーお味噌ってすごい力を持っているんですね」


麹子は、味噌の持つすばらしさと、花村課長の豊富な知識に驚かされた。


「そういえば単身赴任してからあったかい味噌汁なんてごぶさただなぁー」


と花村課長は一人でつぶやいた。


ふと外に目をやると雪がちらちら降ってきた。


「さあ早く帰ろう」


寒々しい冬の空の下、コートの衿を立てて、花村課長は、大事そうに味噌をかかえてアパートへ急いだ。


「おー寒い、寒い。あれ?」


いつも暗いアパートに電気がついている。


「朝、つけっぱなしで出ちゃったかな?」


そういってアパートに近づくにつれ、なにやらにぎやかな声が聞こえてきた。


「ガチャ、ガチャ」


こごえる手でカギを開けると


「おかえりー」


「おかえりなさーい」


そこには、明るい家族の顔があった。


「ど、どうしたんだー」


「22・23日の休みだからチョット早目のクリスマスをしようと思ってみんなでやってきちゃったのよー」


テーブルの上には、クリスマスケーキやごちそうがたくさん並んでいた。


「あーそうそう、今日部下の永野君にお味噌を頂いたんだよ。久しぶりに母さんの味噌汁が飲みたいなー。

毎日コンビニ弁当じゃ味気なくてねー」


「はい、はい」


熱い湯気が立ちのぼり、味噌のいい香りがしてきた。お椀から伝わるぬくもりが、冷たい手をやさしく温めていった。


「ズズッー、あー。これこれやっぱり母さんの味噌汁が一番のごちそうだね。」


そういって顔をあげると、そこには父を囲む家族の笑顔があふれていた。


『これも永野君のお陰かな』


花村課長の顔に久しぶりに笑顔が戻った。
 

第四章 そして・・・

会社もお正月休みに入り、麹子も忙しい日々から解放されホッと一息ついていた。今日は一月一日元旦。

麹子の何よりの楽しみは年賀状を見る事である。いつもながら父の年賀状の枚数には驚かされる。

でもそれだけ人脈がひろいのだと思い、誇らしげにも感じていた。

自分のものと分けていると、麹子宛の年賀状で一枚気になるものがでてきた。


『明けましておめでとう。昨年はおいしい味噌ありがとう。家族全員に大好評で毎日飲んでいます。

これからも使いたいので、どこで帰るか教えて下さい。それからー』


麹子は読んでいる内になんだか嬉しくなった。そして何より麹子を喜ばせたものは、たどたどしい文字で書かれた


『お姉ちゃんありがとう。おいしかったです』


という一言だった。


「役に立てて良かった・・・」


麹子は今年もまた元旦からの味噌汁を飲みながら微笑を浮かべていた。
 

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