毎日、鳥インフルエンザのニュースが流れている。病原菌というものは、昔も今もどこにでもあるものだという。しかし健康への脅威はかつてより格段に高まってきている。食べ物は豊富にあるのに、どれもこれも安心できない。これは現代日本における大きな不幸である。
おいしいものだけ食べる、良いところだけ食べる、食べたいだけ食べる、こういうことを「食文化」とは言わない。長い歴史の中で今ほど「食文化」を粗末にした時代はないのではないか。
「味噌」はもともとおいしくない食べ物である。そこにダシを取ったり具を入れたり、様々な工夫をして「おいしい味噌汁」に作り上げている。手間がかかり、面倒なことである。しかしそれが「本来の食」である。
「食」における不安は、日本人が食文化を見失ったのと時を同じくして広がってきた。味噌汁がある食卓、味噌を使って調理された食事には、日本人にとっての「正しい食の背骨」がある。
「何を食べたらいいのかわからない」という声がある。そんな時こそ伝統的な食文化を見直してみよう。そこにある当たり前で普通で質素な「食」、それが我々のまっとうな食文化である。