21代目社長と社員でつくる! 400年の発酵屋ブログ
2022.12.28

「出汁入り味噌」と「味噌」

「だし入り味噌」は「味噌」か?という議論がある。

味噌というのは、大豆を煮て麹と塩を加えて発酵熟成させて造るものである。

  出来た味噌にいろいろなものを加えて味付けしたり、調理したりしたものは、「なめ味噌」であったり、「調理味噌」と呼んだりして、一般の味噌とは分けて考えられている。

 調理味噌が味噌と違う点は「味が付いている」というところだが、何かが混ざっているということだけではない。ほとんどの調理味噌は、味噌に熱を加えて他のものとのなじみを良くしたり、味を安定させる目的から加熱殺菌処理(火入れ)をすることが多い。この加熱処理がじつは大きなポイントである。

味噌は生(なま)で流通する数少ない食品のひとつである。

発酵食品は発酵が終わった段階で「火入れ」という工程で加熱処理をするのが通常で、日本酒も醤油も醸造酢もみな火入れ行程を標準としている。

 しかし味噌は生である。生だから微生物が生きており酵素活性もある。それは「味噌は生きている」と表現され、魚の切身を漬ければ腐らないし、肉を漬ければ柔らかくもなる。それが他の食品と大きく違う点である。

しかし「だし入り味噌」は微生物を殺菌し酵素活性を失活させないと、調味のために加えた成分がすぐに分解され変質してしまう。「だし入り味噌」は加熱殺菌をした味噌である。

 「生きていない味噌」を「味と見た目が同じだから味噌」と言って良いのか?

消費者のあまり知らないところで、様々な駆け引きが繰り広げられている。

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