21代目社長と社員でつくる! 400年の発酵屋ブログ
2024.2.20

感動呼ぶ麹造り教室 食の本質への理解に

 今年1月から米麹を手造りする教室を始めました。先日第二期生が修了しました。

 

 この教室は、よくあるプロの作業を肩越しに覗く「作業見学会」ではありません。参加する生徒さんは、初日に米蒸しから引込み、種付け、床揉み、床づくりに始まり、二日目は朝の盛込み作業と夕方の手入れ作業、三日目には出麹作業と、さらに使った麹蓋洗い、麴室のお掃除まで、三日間をかけて本格的なこうじ造りの作業に関与します。

 

 生徒さん自身が蒸し米を運び、冷まし、種を付け、発芽後の深夜の床の温度経過をWebカメラで観察します。翌朝には自分の手で、こうじの発育による発熱を感じ、米の表面が白くハゼていく様を目の当たりにします。遠方の方はホテルを2泊取って、あるいは夜一度帰って、また始発に乗って参加されました。

 

 この教室の目的は、こうじの造り方を教えますということではありません。普段からよく見かけて知っている「米麹」が、実は単なる「モノ」ではなく、成長する生命としてのエネルギーを持った「生きもの」なのだということを作業体験を通して感じてもらおうというものです。

 

 発酵食品という食べ物は、主に微生物たちが時間を掛けて造り出します。それを単に製造のプロセスの一部と考え、出来上がればそれをつくったもの達を除菌殺菌加工して製品化することは、もともと当たり前のことではありませんでした。本来は発酵に関与した生きものたちが食べ物としても生きているものなのです。

 

 修了の日、参加された皆さんは自分が担当した麹蓋のこうじを見て、一様に感動されます。その感動が、麹菌の生命力と自分との関わりや、生きているものを食べるという食の本質への理解に繋がってほしいと願っています。

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