21代目社長と社員でつくる! 400年の発酵屋ブログ
2025.3.26

発酵を体験から視る

2025.3.26

 青源本店の二階ホールでは、頻繁に発酵食品の教室を開いています。行っている教室は味噌仕込み教室ばかりではなく、ぬかみそ漬けなどのお漬物教室や発酵食品を使った料理教室、さらに米麹造り三日間コースの教室などまで、朝から時には夜の時間帯まで発酵に関するいろいろな教室を開催しています。

 それら青源のすべての教室に共通しているのは、ものの造り方を教える教室ではないことです。提供しているのは「発酵の体験」です。青源は、多様な発酵食品の主役の存在が理解でき、それらのすばらしい価値を実感するにはその体験が欠かせないと考えているからです。

 発酵食品における主役は原料や材料ではありません。もちろん造り手の我々人間でもありません。主役とは、素材に働きかけて元々の素材には無かった新しい価値を創り出してくれているものたち、つまり目には見えないたくさんの種類の微生物たちです。普通では目には見えませんが、彼らは確実に存在しています。そしてすごいチカラを発揮して我々人間には成し得ないものを創り出してくれる、まさに発酵食品製造における主役なのです。

 彼らは、あまりに小さいので普通では直接見ることはできません。だからこそ青源の教室ではその存在を体感し、それをもって視ることを目指しています。発酵を視るには、触る(手触り・温度・湿度)、嗅ぐ(香り)、味わう(味、食感)など自身の五感による実感が必要です。身体で感じることで小さいとはいえ命を持った彼らの気配が視えてきます。そしてさらに講師が伝える言葉を聴いてその活躍を理解することで、様々な発酵食品の本来の価値に気づくことになると思うのです。

 発酵食品を食べる智恵は、人類文明の発祥と共に世界中で人間の食文化として受け継がれてきました。わが国においても「身土不二(しんどふじ)」として、生の発酵食品の中で生きた微生物が日本人の腸内環境を創り守り整えてきたのです。除菌殺菌され加工食品化された食材のシェアが高まる現代の食事環境だからこそ、自分自身の手で造った紛れもない「生の発酵食品の価値」はますます高まっています。いま「発酵を体験から視る」ことが、きっとその価値への確信を強めてくれると私たちは考えています。

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