21代目社長と社員でつくる! 400年の発酵屋ブログ
2024.4.11

「品質」守る使命感、胸に~青源のひとびと~

「これを急ぎでお願いします」。下野市の青源しもつけ工場。2階の品質管理課に1本のボト
ルが運び込まれました。

同課の松井七海さんが受け取ったのは、まだ商品ラベルが貼られていない「餃子の達人」。「分かりました」。松井さんは、すぐさま、ろ紙とビーカー、三角フラスコを取り出しました。

精製水で10倍に希釈した後、ろ過した試液を計測器に垂らし、数値に目を凝らします。

塩分、糖分、そしてpH。パソコンに向かい、分析データと照らし合わせ「うん、平均値どまんなか。問題ないですね」とうなづきました。

◇    ◇    ◇  

青源は、味噌や甘酒、それらの調合品など、発酵の技術を生かして、さまざまな商品をお客さまにお届けしています。

品質管理課は、こうした商品に関して、製造過程に問題はないか、微生物による発酵状態は適正か、といった項目について科学的な見地から試験、分析。お客さまに安心・安全な商品をお届けするために、製造分野と一体となって日々、奮闘しています。

 

松井さんが入社したのは3年前。東洋大学生命科学部(群馬県)の学生時代、JR宇都宮駅ビルのにある「味噌と餃子 青源パセオ店」でアルバイトをしていたことがきっかけでした。

当時、微生物の放射線耐性を調べる研究に没頭していた松井さん。パセオ店の梶幸之助店長が手にしていた植物性乳酸菌発酵飲料「ペディオ」の研究報告書に、目が釘付けになったといいます。

「微生物研究が楽しくて。大学で学んだスキルを青源で生かしたいと思いました」

◇    ◇    ◇

無菌環境をつくるクリーンベンチの前に座り、慎重に、そして正確に実験器具を操ります。思わずカメラのシャッターを押す指を止めて見とれてしまうほど、その手さばきは無駄がなく、スピーディー。

ペディオの主役、青源独自の植物性乳酸菌「ペディオコッカスアシディラクティシーAS19」
に、どのようなチカラが潜んでいるのか—。入社のきっかけともなったペディオの研究に今、
自ら取り組んでいます。

「発酵食品の力を通して、お客さまの健康づくりに貢献したい」。その想いが、原動力。チャレンジしている新商品の開発もトライアル・アンド・エラーの連続ですが、それでも「難しいからこそ、楽しい」と目を輝かせます。

「『発酵食品』と呼ばれるものの中で、微生物が生きている商品は、ごくわずか。流通のた
めに活性を止めているからです。青源は、微生物が生きた状態でお客さまの体に届けられ
るよう、日々試行錯誤し、実際にそれを実現しています。そのことを少しでも多くの方に知っ
ていただきたいです」

創業400年。古くからの伝統を新たな形にして未来へつないでいく。青源の将来を担うホープ、松井さん。今後の活躍に注目です。

【取材後記】
子どもの頃、水族館の飼育員が夢だったという松井さん。大人になって、実際に“飼育”しているのは、魚やイルカではなく、微生物でした。ずいぶんと大きさは異なりますが、命の重みは、一緒。微生物を思いやった丁寧な菌培養の進め方や言葉の節々から、命に対する変わらない「優しさ」を感じました。

 

写真は、撮影時「お気に入りの実験器具と一緒に」との呼び掛けに、高性能の紙製シート「キムワイプ」を手にする松井さん。実は、お客さまのお声を商品開発に生かすべく、毎週金曜日、宇都宮市役所近く「青源本店」の店頭に立っています。お味噌のこと、商品のこと、お気軽にお声がけください。

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