「動物性乳酸菌」と「植物性乳酸菌」、この違いをご存じですか?
これらは元々は同じ乳酸菌といえます。ですが両者は住む世界がまったく違いました。
動物性乳酸菌は、主に動物の母乳の中で生育します。母乳は乳児がそれだけを飲んで生きていけるほどに栄養満点でかつ成分が均質な液体です。PHもいつも一定で、塩分などの成分変化もほぼ起こりえません。だからそこに住む乳酸菌は、どこに行っても安全で豊富な栄養の中を漂えるという理想的な、極めて恵まれた環境のなかで暮らしているといえます。
一方、植物性乳酸菌はといえば、栄養などほとんど期待できないようなものにもくっついて生きています。動植物の表面に生息する乳酸菌は,様々な成分にも触れますし、基本的には水分の少ない乾燥状態の中で生き抜かねばなりません。例えば白菜についた乳酸菌は、厳しい乾燥の中でも葉についた小さな傷からでる細胞液のようなものを栄養にしてなんとか生き抜いています。味噌の中にいる乳酸菌の場合は、多くの微生物の大敵である塩分の中で、しかも濃度20%を超えるような高塩度の中でも力強く生きぬいています。
つまり、両者はまるで違う生育環境で暮らすうちに環境耐性に大きな差が生まれたのです。生育過程から過酷な環境にいる植物性乳酸菌が、人間の胃液のような強い酸にも打ち勝って生きたまま腸まで届くことができるのは、そういう理由です。