8月のある日、じりじりと真夏の太陽が照りつける中、栃木県大田原市にある古谷農産を訪ねました。迎えてくれたのは、四代目の古谷忠(ただし)さん。この場所では、無農薬・無化学肥料で大豆を育てる農業が実践されています。

今回の取材のきっかけは、青源本店が開催する味噌仕込み教室。そこで使われる特別な大豆「加治屋在来」を育てているのが、古谷さんです。
古谷農産が大切にしている言葉があります。
「百年先、我らの未だ見ぬ子孫にも 郷土の自然と食を伝えましょう」

この言葉通り、自然との共存を大切にした農業に、古谷さんたちは真摯に取り組んでいます。
例えば、大豆の種まき時期。害虫の発生を避けるために、あえて7月下旬に遅らせて蒔く工夫をしているそうです。私たちが訪れた8月25日には、加治屋在来が青々と葉を広げ、広大な畑一面を緑に染めていました。

古谷さんは、2市にまたがる6ヘクタールの畑で、5種類の大豆を栽培しています。もちろん、その全てが無農薬・無化学肥料。特に「加治屋在来」は、20年以上前に先代の慶一さんが茨城から受け継いだ在来品種。品種名が分からず、畑の地名を取り「加治屋在来」と名付けられました。特有の甘みと香りがあり、豆腐にしたときの香りがしっかり残ることから、豆腐屋さんに特に人気の品種です。

(加治屋在来の花。紫色のかれんな花びらは、とてもかわいらしいです)
しかし、地球温暖化の影響は避けられません。猛暑や少雨の影響で、収量が落ちてしまうことも。昨年は初めて大豆が枯れてしまい、13年間の農業人生で初めての経験だったといいます。

それでも古谷さんは前を向きます。地元の那須拓陽高校と協力し、「ハーブを使った栽培方法」の実証実験に取り組み始めました。ハーブの香り成分が、大豆の収量を増やす可能性があるそうです。成果は未知数ですが、「植物の力を信じ、植物の声に耳を傾ける」。その姿勢に、静かな、そして確かな情熱を感じました。

(大豆の合間に植えられたハーブ。レモンに似た香りを放っています)
地道な作業の積み重ねの中でも、最も大変なのが除草作業です。9月にはシルバー人材センターのスタッフと一緒に、2週間かけて6ヘクタールの畑の草刈りを行います。大豆に土が跳ねないよう、草は「抜く」のでなく「刈る」のが基本。体力も気力も要る作業です。

古谷農産の原点は、24年前に先代の慶一さんが有機農業を始めたことにあります。親戚のお子さまのアトピーをきっかけに「健康の土台は、食にある」と考えました。
自然と共に生きる農業は、多くの命を育みます。例えば、田んぼに生える「コナギ」という草は、余分な窒素を吸い取り、酸素を供給する働きがあるそうです。クモは稲につく虫を食べてくれる、大事な存在。今では見かけることが少なくなった「みじんこ」を探しに、学校の先生が訪ねてくることもあるそうです。

(田んぼが育む生態系のイラスト。生き物は5668種、植物は2075種ともいわれているそう)
古谷さんの言葉が印象的でした。
「時代は変わっても、芯の部分は変えずに、普遍的なものを守りたい。誠実さはどこまで行っても変わらない」

良い原材料をつくることは、人の健康を守り、地球環境を守ることにもつながる。古谷農産の取り組みは、未来の子どもたちへ贈る、大きなバトンのように感じました。

(古谷さん<左>と、味噌仕込み教室の講師・山越ゼネラルマネージャー)
青源本店では、古谷農産の大豆を使った「味噌づくり教室」を開催しています!!
使用するのは、古谷さんが丹精込めて育てた「加治屋在来」

香り高く、コクのある味噌ができあがるこの在来大豆は、化学肥料も農薬も使わずに育てられた、まさに“自然からの贈り物”です。
大豆がどこで、誰によって、どんな想いで育てられているのか———。その背景に触れることで、食のありがたみをより深く感じていただける時間になるはずです。
自然と命に感謝しながら、世界にたった一つ、自分だけの味噌を一緒につくってみませんか?

日時:9月10日(水) 午前10時〜11時30分
場所:青源本店(宇都宮)
仕込み量:2キロ
参加費:6,000円(材料費込み)
使用素材:
・古谷農産の在来大豆「加治屋在来」
・無農薬・無化学肥料の有機米「コシヒカリ」で仕込んだ有機米こうじ
・青源セレクト塩
・尚仁沢湧水
自然の恵みに感謝しながら、自分だけの“生きた味噌”仕込む特別な時間。ぜひご参加ください。
【お申し込み方法】
青源オンラインストアにてお申し込みくださいませ。



