創業400年の老舗味噌屋・青源は、伝統的発酵技術でお客様の健康に貢献しようと、さまざまなことに挑戦しています。
“味噌で味わう餃子”をコンセプトにした宇都宮駅ビルパセオ1階の餃子専門店「味噌と餃子の青源」もその一つ。餃子の町・宇都宮に根差した青源ならではの挑戦です。
国産にこだわった具材の餃子に欠かせないのが、オリジナルの味噌だれ「餃子の達人」ですが、いったいどのように誕生したのでしょう。青木敬信社長に聞いてみました。
―なぜ、餃子店を始めたのですか。
平成6年に、JR宇都宮駅のコンコースに臨時売店を出して、餃子を売り始めたのがきっかけです。最初は味噌スープの水餃子だけでしたが、味噌だれで味わう焼餃子も開発し、冷凍のお土産餃子も販売するようになりました。
当時は、お土産餃子というと、焼く前の生餃子だけでしたので、観光客が持ちかえることはできませんでした。冷凍のお土産用餃子を販売したのは、青源が初めてだったのではないかと思います。お土産餃子には、袋入りの味噌だれをセットにしていました。それがとても人気で、上野や新橋、大宮、品川などの駅構内でも宇都宮と同じスタイルで売店を出しました。
ですが、青源の餃子を実際に食べられる店舗がなく、お客さまに失礼ではないかと思ったのです。そんな矢先、駅ビルパセオへの出店のお話をいただきました。味噌で味わう餃子専門店「味噌と餃子の青源」がオープンしたのは平成8年のことです。
―味噌だれ「餃子の達人」は、餃子専門店をオープンする前から、既に、お客様に親しまれていたのですね。
そうです。当時は「餃子の達人」という名前はなく、味噌だれだけでは販売していなかったのですが、「たれだけを売ってほしい」という声が多く寄せられるようになりました。商品化にあたって社内で名称を公募し、生まれたのが「餃子の達人」です。平成18年に販売が始まって、今では、青源の中で押しも押されぬ人気商品となりました。
―絶妙な味わいですが、味付けへのこだわりは。
宇都宮駅に売店を出す時に「味噌スープの水餃子を作ろう」と開発に当たったのが「味噌で食べる青源の餃子」の最初ですね。水餃子は、ゆで餃子を酢醤油に付けて食べるのが一般的ですが、宇都宮では、皆さん水餃子のお湯の中に、お酢としょうゆとラー油を入れて、スープをすっぱく味付けして、蓮華で食べる、ワンタンみたいに。それの味噌バージョンを作ろうと考えました。味噌スープ餃子といっても、味噌汁の具が餃子では、あまりおいしくありません。目指すのは、宇都宮に昔からあるすっぱ辛い味だ、と開発が始まりました。これは、ぜったい宇都宮ならでは、です。
―私も宇都宮出身ですが、水餃子は、まさにその食べ方が普通でした。「餃子の達人」のルーツが、宮っこの文化にあったとは。
開発に当たって「味噌だれ」をうたう全国各地の店を食べ歩きました。有名な関西の兵庫県三宮にも行ったんです。関西でいう味噌だれは、酢醤油とラー油でたれを作って、そこに甘い味噌を入れて濁らせる食べ方です。味噌をたくさん入れれば、たれは甘くなるんです。他の地域の味噌だれは、ほとんどニンニク味か、辛いたれでした。私たちが目指す、酸味のあっさりした風味、餃子をさっぱりと食べられるタイプの味噌だれとは違いました。
―ポイントとなったのは、酸味ですね。
穀物酢を使うと、酸味が強くなってしまいます。梅酢とか、栃木特産の柚子果汁を使ったらどうかとか、いろいろ試作を重ねました。実は、こうした酸味を生かせるのは、うちが味噌屋だからというのもあるんです。味噌屋なので、酸味と相性の良い味噌というものが最初にある。そこに、どう足していくか、いろいろやって。だいたいは足し過ぎないことの方が正解なんですよね。
餃子は、もともと味の強い食べ物です。ニンニクが入っていたりして。そのままでも充分食べられるくらい味の多い餃子を、さっぱりと食べてもらうのが味噌の強み、味噌の手柄です。
水餃子のスープと配合割合は違いますが、ここから派生して、焼き餃子の味噌だれ「餃子の達人」が生まれました。この味は、他にはない青源だけのものだと思います。
―改めて青源の餃子に「餃子の達人」をたっぷりと付けて味わいたくなりました。
今となっては、この味噌だれが青源の餃子全体を支えてくれています。この味噌だれがあるから青源の餃子、と思っていただけています。
もちろん、餃子との相性は抜群ですが、実は餃子だけにとどまらず、さまざまな料理に楽しんでいただける達人技を持っています。
(写真は「餃子の達人」を使ったカルパッチョ、おにぎり)
ポン酢やドレッシング代わりに使っていただくことで、もっと料理の幅が広がります。是非お奨めしたいですね。