「おいしいお味噌の見分け方を教えてほしい」というご質問をいただくことがある。
まずお味噌がおいしいか、そうでないかという基準は、とても主観的なものである。そこのところを理解した上で「一般的にいって、味噌屋としての目から見て」という観点でお話しすることはできる。
年に一度、全国のお味噌を一堂に集めて審査評価する「全国味噌鑑評会」という催しがある。そこではお味噌を「色」「香り」「味」「組成」の4項目にわけて審査し鑑評結果を出している。
たくさん並んでいる味噌の中から選ぶならまず「色」である。赤いか白いかはお好みとして、「おいしそうな外観をしているか」が大事なポイントである。味噌は原料の良し悪し、その処理方法の良否、麹(こうじ)の出来具合、熟成方法の適否など味噌造りの要素の良し悪しが、「色」に出る。それはまさに「味噌の顔色」である。原料が悪く、処理が清潔でない、麹に問題がある、といった時には必ずくすんだ色の味噌になる。
だから顔色が良いことが、健康で良くできた味噌の目安になる。健康な味噌は赤くても白くても「冴えた色」をしている。「透明感のある色」を持っている。つまり「おいしそうな色」を持っている。
しかし、もちろん例外もある。一般に麦麹を使った味噌は素朴な外観で色が淡色の時などは米みそに比べて冴えがなく見た目が悪い。それは麦麹の特性であり、だから味噌として良くない訳ではない。
また、「価格は極端に安いのに見た目はいい」というのも時にはある。熟成が充分でなくても、原料が良くなくても、「見栄えだけは良い」というものは味噌に限らずどの世界にもあるだろう。
だし入り味噌など加熱殺菌をした味噌は「冴えがない」「透明感がない」という評価がある。生みそでは起こっている製品化された後も少しずつ進む発酵による酸素の消費(還元作用という)が起きないことが外観に現れていると言われている。
店頭で見比べていただきたい。本当に良いお味噌は、そして生きているお味噌は、「命を感じさせる色」をしているものだから。